ARCHITECTURE
建築文化財の保存活用事例から、未来の吉田寮の姿を考えます。 航空写真:Apple map
近代木造建築
恵迪寮(けいてきりょう)は「都ぞ弥生」の寮歌で知られる北海道大学の学生寮で、吉田寮よりさらに8年古い、1905年(明治38年)の日本最古の学生寄宿舎が、北海道開拓村に移築され、現在は展示施設となっています。吉田寮は「現役最古の学生寮」と称されてきました。
旧松本高等学校の本館および講堂は、吉田寮現棟より少し後に建てられた洋風木造建築で、重要文化財に指定されています。吉田寮も建設当初はこのように、薄緑色に塗装されていたと推定されています。奈良女子大学の本館も重要文化財で、設計者の山本治兵衛(やまもとじへえ)は、永瀬狂三と共に吉田寮現棟の設計も担当しています。姫路工業大学講堂は登録文化財に指定されています。
重要文化財の保全と活用
築150年を数える京都の町家も、重要文化財として公開されています。和歌山県の高野口小学校では、懐かしさを感じる木造校舎の中で、毎日、子供達が普通に学校生活を送っています。現代の文化財の世界では、「生きた文化遺産」として活用することに価値が置かれています。
登録有形文化財
国の登録有形文化財(建築)の制度については、文化庁のページへ。
キャンパスの登録有形文化財
1877年(明治10年)創立の東京大学と、1897年(明治30年)創立の京都大学、いずれも多くの建築が登録有形文化財となっています。1923年(大正12年)の関東大震災の被害を受けた東大では、震災後に建てられた統一感あ建築群が登録されているのが特徴で、東大のシンボルの安田講堂もその一つです。一方、京大では様々な時代の異なる様式の建物が登録され、キャンパスにさまざまな表情を与えています。残念ながら、京大のシンボルの時計台は登録されていません。背面をガラス張りに改修したことが関係するかもしれません。大学の主役である学生の遺産も登録されていません。吉田寮を、登録有形文化財に。
日本各地の登録有形文化財
軽井沢を代表する「万平ホテル」アルプス館も、登録有形文化財です。
木造建築の現在と未来への取り組み
吉田寮が建築基準法の改正以前の建物だから、耐震性が低いという記述がネットなどで見られますが、これは誤解です。吉田寮のような伝統構法での耐震性の考え方は、在来工法とは異なります。一方、現在の建築基準法では吉田寮のような大規模な木造建築をもう建造するには、防火上の制限により困難です。そのため、京都市では建築文化財に対して、建築基準法の例外とする条例を定めています。
「市民の会」も文化財保護団体として登録させていただきました。