私たちには、守るべきものがある。

 京大には、守るべきものがある。

   吉田寮を登録有形文化財に。

 学生と大学が激しく対立したこともあった。

  105歳の寄宿舎は何も言わずに見ていた。

   吉田寮を登録有形文化財に。


吉田寮は京都大学構内にある、築100年を超える木造学生寄宿舎です。大正2年に創建された旧棟は現存する学生寮として最古のものとなります。その静かな佇まいは世代を超えて、大学関係者のみならず地域住民からも愛されてきましたが、老朽化対策が長年の課題となっていました。この秋、吉田寮の耐震改修の問題は、京都大学が指示した寮生全員の退去期限(9月30日)を過ぎ、新たな局面を迎えています。京都大学は、吉田寮を廃寮にするのではなく、耐震工事ののち再び学生寮とすることを明確にしていますが、現存する最古の木造寄宿舎としての価値にほとんど注意が払われていないことに、私たちは大きなを危惧をいだいています。基本方針案には「建て替え」という言葉も使われており、このまま進めば、歴史的建造物としての吉田寮が跡形もなく姿を消してしまうことにもなりかねません。

京都市ではこの数十年で、昔からの「町家」建築が急速に失われ、町並みの景観が損なわれていくことが問題となっています。いっぽうでこうした京町家の外観や構造をできるだけ残した形で保全し再生(リノベーション)する取り組みも活発になってきました。吉田寮の建物もまた、一度壊してしまえば二度と戻らない京都大学の貴重な宝であり、近代建築史における重要な建造物です。また100年以上にわたって学生たちに住み継がれてきた生きた建築です。私たちは京都大学の叡智を結集して、その保全と再生のための課題を克服し、次代に継承していくことを提言します。

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